夜中に首回りの寝汗で目が覚め、不快な思いをしたことはありませんか?
首回りの寝汗は不快感が強い上に、睡眠の質を低下させるだけでなく、健康上の問題を示唆している場合も…
今回は、首回りの寝汗の原因と、その対策について詳しく解説していきます。その寝汗、放置すると後悔することになるかもしれません。
整形外科
古屋 智之先生
1983年 東京都生まれ
2008年 聖マリアンナ医科大学医学部医学科 卒業
2010年 聖マリアンナ医科大学整形外科 入局
保有資格:日本整形外科学会専門医,整形外科スポーツ医,医学博士
所属学会:日本整形外科学会
運営店舗:女性専用24時間ジム アマゾネス,癒し~ぷ用賀店
なぜ首回りに寝汗をかくのか?
首回りの寝汗は誰しも経験することですが、その量が尋常でなく、日常生活に支障をきたすほどであれば、要注意です。どのような原因で汗をかくのか見てみましょう。
暑さだけが原因じゃないんだね…
ストレスの蓄積
ストレスを感じると交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上昇して体は興奮状態になります。本来、睡眠中はリラックスモードの副交感神経が優位になるべきですが、ストレスによってこの切り替えがうまくいかず、自律神経のバランスが乱れてしまいます。この自律神経の乱れが、体温調節機能にも影響を及ぼし、大量の寝汗を引き起こす可能性があります。
ホルモンバランスが乱れている
ホルモンバランスの乱れは、寝汗の原因の一つとなることがあります。これは、ホルモンが血管の拡張や収縮をコントロールしており、バランスが崩れると体温調節がうまくいかなくなるためです。
男性と女性では体のメカニズムが違うもんね!
適切ではない睡眠環境
季節に合っていない室温や寝具は、睡眠中の体温を過剰に上昇させ、寝汗を悪化させる可能性があります。
・部屋が蒸し暑い
温度だけでなく湿度にも注意が必要です。エアコンや除湿機を活用し、快適な温度・湿度を保ちましょう。
・通気性の悪い寝間
着・寝具: 熱がこもりやすく、寝汗をかきやすくなります。吸湿性・速乾性の良い素材を選び、こまめな洗濯を心がけましょう。
・冷風の当てすぎ
一晩中、クーラーや扇風機の風に当たり続けると体が冷えすぎてしまい、かえって寝汗をかきやすくなることがあります。タイマー機能を活用したり、体に直接風が当たらないように工夫しましょう。
・暖房の設定温度が高い
暖房の温度が高すぎると、体が温まりすぎて寝汗をかきやすくなります。適切な温度に設定し、必要に応じてタイマーを活用しましょう。
・寝間着が厚すぎる
厚手の寝間着は体温を逃がさず、寝汗の原因となります。季節に合った素材や厚さの寝間着を選びましょう。
・電気毛布の使いすぎ
電気毛布は便利ですが、長時間使用すると体が温まりすぎてしまいます。タイマー機能を活用したり、低温設定にするなど工夫して使いましょう。
快適な睡眠環境を作るためのポイントとしては以下を意識してみてください。
室温: 夏は26~28℃、冬は16~19℃が目安
湿度: 50~60%が理想的
寝具: 季節に合った素材や厚さのものを選ぶ
季節ごとに寝具の素材も変えると良いよ♪
肥満による発汗
肥満は体に余分な脂肪が蓄積した状態であり、様々な健康問題を引き起こすリスクがあります。その一つが、寝汗の増加です。
体脂肪は、いわば断熱材のような役割を果たします。そのため、体脂肪が多いと体内に熱がこもりやすく、体温調節が難しくなります。特に睡眠中は、体がリラックスして体温を下げようとするため、余分な熱を放出するために大量の汗をかいてしまうのです。
服用している薬の影響
服用している薬の副作用で、寝汗の症状が出る場合があります。服用している薬がある場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。
酷い肩こり
首や肩周辺は、多くの血管やリンパ管が集中しています。肩こりによってこれらの筋肉が硬くなると、血管やリンパ管が圧迫され、血行不良や老廃物の滞りが生じます。すると、体は体温調節のために首や肩周辺に汗をかきやすくなってしまうのです。
アルコールを過剰摂取している
お酒を飲むと、血管が拡張し体温が一時的に上がります。すると、寝ている間に体がその熱を放散しようと働き、大量の寝汗をかいてしまうことがあります。
さらに、アルコールは睡眠の質そのものも低下させます。深い眠りが得られにくくなり、夜中に何度も目が覚めてしまうことも。結果として睡眠中の体温調節がうまくいかず、寝汗をかきやすくなるのです。
男性と女性で首回りの寝汗の原因が違う?
女性の場合、生理前に起こるPMS(月経前症候群)が寝汗の原因となることも。
PMSは、生理開始の3~10日ほど前から始まる心身の状態の変化で、頭痛、腰痛、イライラ、そして「のぼせ」などが代表的な症状です。この「のぼせ」が、寝汗の原因となることがあります。
PMSによる寝汗は、生理が始まると症状が落ち着くことが多いですが、個人差があります。症状が重い場合は、婦人科を受診して相談してみましょう。
男性と女性で体のメカニズムが違うもんね…
首回りの寝汗を抑える方法
毎日の生活リズムを意識する
不規則な生活は、体内時計の乱れを引き起こし、自律神経のバランスを崩したり、PMS(月経前症候群)の症状を悪化させる可能性があります。寝汗を防ぎ、質の高い睡眠を得るためには、規則正しい生活を送ることが非常に重要です。その一例をお伝えします。
朝の光を浴びる
起床後すぐにカーテンを開け、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、一日を活動的にスタートできます。
適度な運動
毎日少しでも体を動かす習慣をつけましょう。ウォーキングやストレッチなど、軽い運動でも効果があります。運動は、ストレス解消や質の高い睡眠にも繋がります。
毎日の入浴
38~40℃前後のぬるめのお湯にゆっくりと浸かることで、心身のリラックス効果が高まり、質の高い睡眠に繋がります。
規則正しく3食食べる
毎日同じ時間に食事をとることで体内時計が調整され、睡眠ホルモンの分泌リズムも安定します。
ストレスを溜め込まない
ストレスは、現代社会において避けることのできないものです。しかし、溜め込みすぎると自律神経の乱れを引き起こし、寝汗をはじめとした様々な不調の原因となります。
だからこそ、自分にとって最適なストレス発散方法を見つけることが重要です。ストレスを放置すると、交感神経が過剰に働き、心身が緊張状態に陥ります。
その結果、リラックス状態をもたらす副交感神経の働きが弱まり、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
エクオールやイソフラボンを摂取してみる
女性においては、エクオールやイソフラボンを摂取することも効果的です。エクオールやイソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする成分です。
更年期に減少するエストロゲンを補うことでホットフラッシュやのぼせ、イライラなどの更年期症状を和らげ、結果的に睡眠の質向上に繋がることが期待できます。
漢方を使用してみる
寝汗の原因が自律神経の乱れにある場合、漢方薬が効果的な選択肢の1つとなります。漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて処方されるのが理想ですが、市販薬の中でも「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」は寝汗に悩む方におすすめです。
就寝前にはリラックスするようにする
質の高い睡眠は、心身の健康に欠かせません。しかし、ストレスや緊張感が高い状態では、自律神経が乱れ、寝汗をかきやすくなってしまいます。就寝前にリラックスすることで、自律神経のバランスを整え、寝汗を予防しましょう。
・瞑想やマインドフルネス
・音楽鑑賞
・日記を書く
・温かい飲み物を飲む
・ヨガ
・ストレッチ
・セルフマッサージ
・アロマ
冷たいタオルを首回りに巻く
首には太い血管が通っており、脳や全身に血液を送り出す重要な役割を果たしています。この部分を冷やすことで、冷やされた血液が全身を循環し、効率的に体温を下げることができるのです。
タオルの素材は吸水性が高く、肌触りの良いタオルを選びましょう。巻き方としては優しくフィットするように巻き、締め付けすぎないように注意してください。
大量の寝汗は病気の可能性も…
更年期障害の可能性
更年期障害は、女性だけの問題ではありません。男女ともに、ホルモンバランスの乱れによって様々な体の変化が生じ、その一つとして「寝汗」があります。特に首回りの寝汗は不快感が強く、睡眠の質を低下させる原因にもなります。
女性の更年期障害
閉経に伴い女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで、自律神経のバランスが乱れ、様々な症状が現れます。
代表的な症状としてはホットフラッシュ、のぼせ、発汗、動悸、息切れ、頭痛、肩こり、イライラ、うつ症状などですが、その症状に加えて大量の寝汗に悩まされる女性も多くいます。
男性の更年期障害
男性も、加齢とともに男性ホルモン(テストステロン)が減少することで、更年期障害を発症することがあります。
多汗症が原因の可能性
多汗症は、日常生活に支障が出るほど大量の汗をかいてしまう疾患です。汗は本来、体温調節のために必要なものですが、多汗症の場合、その量が過剰になり、様々な場面で不便を感じることがあります。
多汗症には、全身から汗が噴き出す「全身性多汗症」と、顔や頭、手足、脇など特定の部位に集中して汗をかく「局所多汗症」があります。
また、原因が明らかな場合は「続発性多汗症」、原因不明の場合は「原発性多汗症」と分類されます。他の病気や怪我などが引き金となって多汗症を発症することもあれば、明確な原因が見つからないケースもあるのです。
自律神経失調症の可能性
自律神経は、体温調節、呼吸、消化など、私たちの生命活動を支える重要な役割を担っています。しかし、疲労、ストレス、不規則な生活などが続くと、この自律神経のバランスが崩れてしまうことがあります。
自律神経の乱れは睡眠中の体温調節にも影響を及ぼし、大量の寝汗を引き起こすことがあります。特に、首回りや顔は汗腺が集中しているため、寝汗をかきやすい部位です。
睡眠時無呼吸症候群の可能性
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が一時的または繰り返し停止する病気です。
呼吸が止まると体は酸素不足に陥り、それを補おうと交感神経が活発になります。その結果、心拍数や血圧が上昇し、大量の寝汗をかくことがあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の可能性
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰に作られることで、体全体の活動が異常に活発になってしまう病気の総称です。この病気の代表的な例として、バセドウ病が挙げられます。
甲状腺ホルモンは、いわば体のエンジンを動かす燃料のようなものです。この燃料が過剰になるとエンジンが過熱し、様々な症状が現れます。新陳代謝が活発になりすぎて暑がりになったり、汗が止まらなくなったりすることもあります。
低血糖症の可能性
糖尿病の治療中に起こる低血糖は、睡眠中の寝汗にも繋がることがあります。普段から低血糖になりやすい人は、睡眠中にも血糖値が下がり、その際に寝汗をかいてしまうことがあります。
不安な時は医療機関で診てもらうようにしようね!
危険な寝汗の見分け方
パジャマやシーツがびしょ濡れになる、何度も着替えが必要になるなど、日常生活に影響が出るほどの大量の寝汗は要注意です。
また、寝汗に加えて、体重減少、倦怠感、食欲不振、発熱、動悸、息切れなどの症状がある場合は病気が隠れている可能性があります。高熱や悪寒が続く場合も早急に医療機関を受診しましょう。
首回りの寝汗についてよくある質問
最後に首回りの寝汗についてよくある質問をまとめました。
首回りの寝汗について悩んでいる方は、こちらも参考にしてみてくださいね。
寝汗の匂いが気になる場合はどうすれば良い?
寝汗の匂いは、自分では気づきにくいものの周囲に不快感を与えてしまう可能性があります。
対策としては、寝る前にコップ1杯程度の水を飲みましょう。体内の水分が不足すると、濃度の高い汗が出やすくなり、匂いの原因となります。
また、起きた後は体を清潔にすることで、汗と皮脂の分泌を抑え、雑菌の繁殖を防ぎます。朝のシャワーなどを浴びるようにしましょう。
寝汗が気になる場合は何科にいけばいいの?
寝汗が気になる場合、まずは内科を受診するのがおすすめです。内科では問診や身体診察、血液検査などを通して、寝汗の原因を探ります。
内科は様々な症状に対応できる総合診療科です。寝汗の原因が特定できない場合でも、幅広い視点から診断を行い、適切な診療科を紹介してくれます。
「寝汗」と「盗汗」の違いってなに
「寝汗」と「盗汗」、どちらも睡眠中に汗をかくことを指しますが異なる意味を持つ言葉です。寝汗は、体温調節のために誰でも経験する生理的な現象で、睡眠中に起こり起床時には引いていることが多いです。盗汗は、東洋医学の考え方では、体内のバランスの乱れなどが原因で起こる異常な発汗を指します。
首回りの寝汗で悩むの終わりにしよう
寝汗の原因はホルモンバランスの乱れ、睡眠環境、生活習慣、ストレス、疾患など多岐にわたります。原因に応じた改善策を試して、快適な睡眠をとれるようにしましょう。もし症状が重い場合は自己判断せず、医療機関を受診するようにしてくださいね。
店舗名 | 首回りの寝汗は危険!?後悔する前に知りたい原因と対策 |
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